初めて英語論文を書く際にまず気を付けたい3つのポイント

研究者を目指す学生にとって最初の大きな難関が英語で論文を書くことであろう。

ただ読むだけでも大変な英語論文を、自分で書くとなるともはや何がどう難しいの

かすらわからないかもしれない。私のような若輩研究者が偉そうなことを書くのも

畏れ多いが、普段学生の論文を指導したり海外ジャーナルの査読を行っている

わずかばかりの経験から、そんな方々に是非

 

「まず最低限気を付けてほしいこと」

 

を下記に述べたいと思う。無論、(余程のことがない限り)初めての論文執筆でまともなレベルの文章を書けるはずがないので、結局周りから相当な量の指導を受けることになるのであるが、事前に下記のことに気を付けてもらえればお互いに時間と労力を削減できると思う。もちろん、多少の事情は分野や研究室、指導教員(共著者)によっても異なるので状況に応じて適宜参考にしてもらえれば幸いである。

 

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1.いきなり英語で書こうとしない

普通、英語ネイティブでない人間がいきなり文章を書こうとすると、文法や用法がガタガタになるのに加えて、文章内容のレベルまで落ちてしまう。表現能力が足りなかったり英語で書くことに精一杯になってしまうことで、内容の質を高めることに集中できないからである。

以下、この英語レベルと内容レベルを(時間をあまり無駄にしないで)できるだけ上げる方法について述べる。

 

 まず第一にオススメしたいのが、書き始める前に関連論文をたくさん「読む」ことである。読むといってもただ普通に読むのではなくて、何か使えそうな部分が無いか盗む気持ちで読む。近い内容の論文であれば、自分の論文でも使える典型的な英語表現が多く含まれているだろう。こうした表現は(1文まるまるコピーするのは良くないが)アレンジして使えるようにメモする。また、どういった単語を選んでいるかに注意する。(例えば、良く知らない状態で英作文すると論文にそぐわないインフォーマルな単語をたくさん使いがちである。これについては別の記事で詳しく述べたい。)また、議論や説明の細かさ、断っておくべきことといった作法にも目を配る。

 

どちらにしてもイントロを書くときにはそれなりの量の文献をサーベイしなければならないので、折角ならば前もって十分な量の論文を読み込んでおきたい。大分慣れてくると、「ああ、こういう表現は(見たことないし)多分使わないな」というのがなんとなくわかるようになってくる。これにより、見当はずれの英語を書いてしまう回数が大分減る。

 

 加えて、実際に英語で文章を書く前に論文の流れ、構成を(箇条書きでも和文論文形式でも何でもいいので)日本語で作り、その時点で共著者や指導教員に意見を仰ぐ。これにより内容の質が下がるのを防ぐ。

これは指導する側の(個人的な)視点なのだが、もし英語と内容が両方崩壊していた場合、(そもそもどういう流れで何を言いたいのかわからないので)代替案を提示するのにそれなりの労力を要する。従って、このように「内容レベルでの修正」と「英語レベルでの修正」を別途行わせてくれたほうが助かる。(もちろん書く側からすれば二度手間のように感じるかもしれないが、「困難は分割せよ」ということで是非我慢してほしい。)

 

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2.図で手を抜かない(ちゃんと見やすい図をつくる)

文章を書くのに精一杯になっていると、どうしても結果の図の見易さが疎かになりやすい。(少なくとも私の分野では)図がテキトーな論文は高確率で残念な論文であり、見た目の時点で素人感が出てしまう。詳細についてはこれも別の記事で述べたいが(あるいは検索すれば有益な情報がいくらでもネット上に見つかるだろう)、見やすい図の要件としては例えば

・凡例やラベルなどの文字が大きくて見やすい

・全ての線が一定以上太くて見やすい

・色やマーカーの設定が適切で見やすい

等の点が挙げられるだろう。それぞれどの程度強調するかはジャーナルの雰囲気にも依るので適宜参考になる文献を見て考えればよいと思う。(例えばNatureやScienceなどの雑誌に載っている図は多くの場合上記のポイントがおさえられている。)

また、Excelで作った図をデフォルト設定のまま使用するのは避けたいExcelでも少し手間をかければ(不要な枠線を消去、軸・マーカーに仕様する色やサイズを工夫するなどして)Excel感を消すことは可能である。私の分野ではExcelではなくgnuplotなどを使っている人が多い印象である。(ちなみに私はMathematicaを使っている。)

また、図のサイズやラベルなどに使う文字のサイズ・フォントは出来るだけ全体で統一する

 

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3.英語の細かいルールを遵守する

最初のうちはどうしても英語の文法ミスをしてしまうものである。以下に述べるような細かいミスは簡単に修正できる(が多発すると指摘が面倒な)ので事前にチェックして直しておく。

・文中のカンマやピリオドの後は必ず半角スペース

・略語を表すピリオドの後も半角スペース ("i.e."や"e.g."の一つ目のピリオドなどは例外)

"Fig.1"(間にスペースなし)ではなく"Fig. 1"(間にスペースあり)とする。

 

 ・引用文献の前も半角スペース(ジャーナルの引用スタイルに依存)

(例:○… has been proposed [1]. ×…has been proposed[1].)

 ・スペルミスは(出来れば簡単な文法ミスも)ワードエディタ等のスペルチェッカーを使って事前にチェックする。

たとえばMicrosoftのWordでもそれなりに機能する。

 

普通このような細かいレベルのミスが投稿の時点で残っていることはほぼないと思うが、もしいくつも残っていた場合レビュワー(査読者)の印象が悪くなることは言うまでもない。

 

 

 

まとめ

以上、初めて英語論文を書く学生の方々にまず最初に気を付けてほしいことを3点挙げた。いずれも初歩的なことだが(意外にできてない場合が多く)、先にやっておいてもらえると指導する側の労力が減って(結果として質の高い指導を受けられることになり)良いと思う。実際の論文執筆の進め方や内容の詰め方に関しては指導教員や研究室それぞれなので、その部分についてはここでは述べていないが、上記に挙げたのポイントは概ね一般的に役立つのではないだろうか。